僕として僕は行く。

旧・躁転航路

アコースティックギター

 兄が置いていったアコースティックギターを発掘して以来、今まで触ってたエレキには指一本触れないでそのアコギばっかり触ってる。アコースティックギターは、非常に面白い。
 まず、俗に「箱鳴り」というように、コードをじゃら〜んと鳴らした時には実際に箱が振動し、その振動が体に伝わり、そして部屋全体に広がっていく。まるで音波に色があって、それが部屋中に浸透していって、部屋が色に染まっていくような感じがする。こういった状況をして、「温かい」と形容する場合があるけれど、確かになぞの温もりのようなものがあるように思う。
 僕がギターを弾く時っていうのは、コードを弾いている時がほとんどなのだけれど、アコギだとコードを一つ弾くにしてもニュアンスの強弱が出てきて面白い。エレキギターでもそういうのはあるのだろうけど、やっぱりアコギほどではない。ピックを握って割と力強く弾いても面白いし、指で爪弾いても面白い。特に面白いと思うのは、指弾きで分散和音を弾いている時で、同じコードを弾いていても、ピックで一斉に鳴らすのとはかなり違った印象を受ける。
 こういった、エレキギターとの様々な違いが楽しくて、ずっと弾いているのだけれど、こうなって初めて気付いたことがある。それは、ギターは、長時間弾き続けると、手が痛くなったり、力が入らなくなったりするということだ。これは、もしかしたらギタリストなら誰でも知ってる話なのかもしれないけど、僕はこのアコギを何時間も弾き続けるようになるまで、それを体感としては知らなかったのだ。そう考えると、これは一種の懺悔なのかもしれないが、エレキギターは特に好きになれないままここまで来たのかもしれない。
 特に、コードを弾いてみて、色んな抑え方してみて、ギタークリシェを見つけたりするのが好きだから、そういう人は、元々アコースティックギターのほうが向いているのかもしれない。逆に、ソロをがんがん弾いたり、パワーコードとかを弾くのが好きな人は、エレキギターのほうがハマるのかもしれない。
 そして、これがもう一つの懺悔なのだけれど、楽器を弾いていて楽しいと思ったのは、実は初めてかもしれない。だって、手がヘバって、なんだもうヘバッちゃったのか、なんて思ったことは今まで無かったから。これ、誰に対する懺悔なのかよくわからないけど、多分自分に向けての懺悔だと思う。