僕として僕は行く。

旧・躁転航路

 針が刺さっている気がする。頭に。その針は電波を受信して、僕が勝算のない戦いに没頭しようとするとすぐに諌めようとしてくる。

 と言っても、何も僕の頭がおかしくなったわけではない。というか、頭がおかしいのは前からであって、まあでも突如更に悪化したとかそういう話ではなくて。ハンターハンターのちょっとしたネタバレになるのだけれど、キルアという暗殺屋の少年は同じく暗殺屋の長兄によって頭に刺された針によって、勝ち目のない戦いを行わせないようコントロールされているわけだけれど、実は僕もそんな風に僕自身を諌める声が聞こえてくる時がある。何か一つのものに没入しようとした時に、そんな事は無駄だ、大人になれ、冷静になって周囲を見渡せという声が聞こえる時がある 。

 キルアは、勝ち目のない、けれども逃げられない戦いの中で、相手に勝つ以上にまず兄の諫言に勝利しなければならず、それは何よりもまず自分自身に勝つことを意味していた。自分の中からニヒリストとしての自分を追い出す。キルアは兄からのプレッシャーにめげず、最終的には針を抜き去った。きっと僕もまずはそういうことをやらないといけないのだ。笑われてもいい、負けてもいい。ダサくたっていい、挑戦することが今僕には求められている。

 最後に笑うのは、戦った俺だ。