僕として僕は行く。

旧・躁転航路

ネタバレ注意:エヴァQのメタファー推察(1)

ネタバレ注意
えーっと、まあエヴァQを見てきて、何箇所か気になるメタファーを勝手に見出したのでそういう発表をします。 

 

--------------

 

  • 14年間年を取らないエヴァ・パイロットたち。
    『破』の14年後の世界を描いたQでは、エヴァのパイロット達だけが年を取っていない。このことに関して、アスカは「エヴァの呪縛」と答える。 まずこの14年間という数字。『Air/まごころを、君に』の放映が1997年なので、2012年のQの放映より約14年前の出来事だとも言えなくはないでしょう。だけど、パイロット達の初期設定における年齢である14歳がもう一周するまでの間、と捉えるほうが適切なように思われます。そして何よりも、ここに込められているのではないかと僕が邪推しているのは、庵野氏による「お前らロリコン・ショタコンのせいでアスカやシンジを14年間も成長させることが出来なかった、どうしてくれるんだ」という憤慨です。無論、14年間時が止まったまま(=同じ作品に携わったまま)のGAINAX=カラーに対する自嘲もあるだろうし、お前たちは14年間何をやっていたんだという視聴者に対するメッセージでもあるでしょう(カヲル君曰く、「時間は不可逆だからね」=You cannot redo)。
     
  • マリの歌う『ひとりじゃないの』 
    『破』では「365歩のマーチ」によって物語の展開を暗示していたマリですから、当然ながら『Q』においても歌のチョイスは同様の働きをしていると思います。そこでマリが選んだのは天地真理さんの『ひとりじゃないの』。「ひとりじゃないって 素敵なことね」と歌うこの曲は、おそらく、エヴァにも乗れない、そして綾波を救えていなかったシンジでさえも、実は孤独ではないのだ、という意味が重ねられているように思います。そう捉えると、まずカヲル君による見かけ上の救済、そして物語最後の、アスカがシンジをエントリープラグから引っ張りだして引きずって行くシーン(実際の救済)へとつながるように思います。
    ひとりじゃないの 天地真理 

  • なぜ槍は二本必要か?ーロンギヌスとカシウス
    あのー、これは正直魔解釈だと言われても仕方ないと思うんですけど。そういう前置きのあとに書きますが、ホモやBLに救いはないというメタファーなんじゃないかと思うんですよ。女の人がいくら怖くなって、で、『槍』(要するに男性器です)が2本交わったって、結局ダメなもんはダメです、それすら「リリンの王」に良いように利用されてるんですよ、みたいな。まあ牽強付会って言われたらそうなんでしょうが・・・。ちなみに、『槍』を男性器の象徴として捉えたのは何も僕が変態だからではなくて、「衒学的」を自称するエヴァにおいて、フロイト=ラカン的なテーゼの流用はそこかしこに見い出せますし(わかりやすいところでいうと、『デストルドー』なんてモロですね)、そうしたフロイトの精神分析学では細長くてとんがってるものは男性器のメタファーとされるんです。で、ロンギヌスの槍だけがATフィールド(心の壁)を打ち破って攻撃できるのは、あれはまさに(男性による)レイプの象徴なんでしょう。だいぶ話がそれましたが、槍=男性器のメタファーという説それ自体はあながち牽強付会でもないというか。ただ、同じ槍が二本でエヴァが覚醒してフォースインパクトが起こるというのはいまいちやっぱりわからないですね。同じ槍が二本っていうことは、同じモノが二本で、それを4本の手で・・・、うーん、これは結局二人の同じ男性が二人いるのと状況としては同じですが、それでもエヴァは覚醒しうる=自分と寝ることで満たされるみたいな、そう考えるとナルシスがどうのこうので本格的に精神分析化していきますね。やめておきましょう。