僕として僕は行く。

旧・躁転航路

神に選ばれる

 多分大学生になってからのことだと思うんだけど、インターネット上で見た、アメリカのアンケートの項目に「あなたは神に選ばれているという実感はありますか?」とかいうのがあって、案の定それを見た日本人たちはあるわけねーだろとか言ってたんだけど、その時僕は「でも俺はあるな」とか思ってて、2,3年前では確かにそういう実感が強くあった、ということを思い出したけれど、今となってはすっかりそんな「神に選ばれている」ような感覚なんてどこかに行ってしまった。

 単純に身の程を知ったというだけの話なのかもしれないけれど、でも一方でそれで割り切れない何かがあって、確かにあの頃はそんな万能感みたいなのをある程度意図して発揮できたし、少なくとも一般的ではないレベルの結果を塾のバイト等でも残していたように思うけれど、ああいう感覚が完全になくなってしまって、それでもまだ僕はあの感覚を取り戻したいと思っていて、くわえて、努力で自分のピーキーなこの能力をより尖らせることも可能なんじゃないかとも思っている。いわば今は沈潜するときで、潜って潜って、一気に水中から出る時に、潜水病になって死んじまえたらそれもそれで壮絶で面白いのかもしれないけれど、まあ無事に出てきて、そして一面に立ち込める雲間からさす一筋の光がちょうど僕が顔を出した海面に差し込んでいて、ああよかった、俺はやはり神に選ばれた子だったのだと、安心して目を瞑られるそんな日を、失ってなお未だに探し求め続けているのだと思う。僕は、もう一度神に選ばれたい。